大家さん相談所トップ > 修繕・営繕 > 畳の表替え費用について
都内のアパートを賃貸している大家です。
この度、退去した賃借人より、契約時に設けた畳の表替え費用を賃借人負担とする特約内容について、支払いの免除を打診されています。
先方の主張としては下記の通りです。
①国交省のガイドラインに基づくと故意・過失を除いた畳の交換費用は賃貸人負担とされている
②契約時に費用負担を明示された上で契約をしているので費用負担については合意が取れているとみなされるのは致し方ないが、ガイドラインに記載のある該当特約についての必要性・合理的理由については明記されていない
③②を理由として合意は取れていても特約自体の合理性がないので特約自体が無効である
今まで似たような事例はありましたが、最終的には契約書に費用負担明示した上で判子を押してもらっているという理由で納得頂いていた方がほとんどでしたので、今回合理性を述べて欲しいと言われ困っています。
現在、委託している管理会社の担当者からは今回の賃借人が特別に反論が強い方で特に気にする必要はないと言われておりますが・・
慣習的なこともあって機械的に畳替えの費用負担を特約として設けてきましたが、時世も考えて見直した方がいいのでしょうか。
家主次郎 様
埼玉県ふじみ野市の管理会社「レインボーホーム管理部」の後藤と申します。
畳表替えについて、回答をさせて頂きます。
先ずは、退去者様が主張されている特約の有効性についてですが
畳の表替えを賃借人負担とする特約が有効であると認められた判例として
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
上記3点の要件を満たしているかどうかにより無効となってしまう場合があります。
退去者様の主張に関しては主に①に該当するかと思いますが
これは明記をしているか否かではなく、理由が存在しているか、という判断になりますので
賃貸借契約書にこの理由が明記されていない場合でも、必ずしも無効になるという事ではありません。
多くの退去者の方は、知識を表に出して強く交渉を行えば退去費用が免除されると考え
このような交渉をされるケースが多い為、一度弁護士の方にご相談をされた上で
賃貸借契約書の記載内容で概ね問題がないようでしたら、少し強気に突っぱねてしまっても良いのではないかと思います。
ただ、今回の方の様に賃借人様側にも知識がある方が多く、トラブルが増えてきている事も事実ではございますので
畳表替えの特約を外される、若しくは和室のお部屋をクッションフロアやフロアタイルなどの比較的安価なリフォームで
洋室に変更してしまうという事も検討されても良いかもしれません。
ご参考になれば幸いです。