インタビュー

「顔認証で人と人の深く温もりある繋がりを創る」DXYZ 木村代表インタビュー

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東京オリンピックや羽田空港などで活用される顔認証技術は、現在多くの分野で普及が進んでいます。本日は日本初となるオール顔認証マンションに顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」を提供し、オフィスや公共施設などでの顔認証に取り組む「DXYZ(ディクシーズ)株式会社」(以下、DXYZ)の取締役社長、木村晋太郎さんにお話を伺いました。

【前半動画】


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先端技術を生かして「人と人の深く温もりのある繋がりを創る」



DXYZ株式会社の社長をしている木村晋太郎です。当社では顔認証プラットフォーム「FreeiD」を展開しています。顔認証はビッグデータやAIのように最先端技術の一つですが、当社では「人と人の深く温もりのある繋がりを創る」という非常にアナログなミッションを掲げています。

スマートフォンの普及もあり、SNSやオンラインゲーム、Live配信などが流行し、いつでも簡単につながれるようになりました。でも私は、実際に対面で話して、食事をして、同じ景色を見ることによって生まれる信頼や友情、愛情があると信じています。

ーー「顔認証」について教えてください



顔認証技術は東京オリンピック・富士急ハイランド・東京ドームなどで導入されています。しかし、普段はスマートフォンくらいしか顔認証を使わない人も多いのではないでしょうか?実はサービスごとに顔を登録する手間が、顔認証が広く普及しない理由の一つなのです。いくら便利でも、毎回毎回登録と言われたら、みなさん疲れてしまいますよね。「FreeiD」は登録の手間を解消する顔認証のプラットフォームで、一度登録すると様々な場所の顔認証エンジン・端末で認証可能になります。

将来的には、夜間に家でお腹がすいた時に、手ぶらでコンビニへ行き、欲しい物を手にとって帰ってくる。ドアも、コンビニも、共有エントランスも、自動販売機も「一つの顔」で認証・決済できる未来を描いています。

ーーいろんなところで顔認証が使えるのは素敵ですね

顔認証技術の提供だけでなく、プラットフォームのお手伝いもしています。丸の内を始めとする地域で展開する三菱地所様の「Machi Pass」は、IDひとつでショッピング・移動・ビジネス活動ができるデジタル共通IDです。様々な店舗で、毎回スマートフォンを出すのも面倒ですし、それぞれの施設で使うエンジン・端末が異なるので、それらの不便さを解消できる顔認証プラットフォーム「FreeiD」の出番というわけです。



他にも東急コミュニティ様のオフィスで導入されたり、食品トレイ大手のエフピコ様ではオフィスから工場まで顔認証が使えるようになったりしています。

興味深い取り組みとしては、亀岡市と共同で行うサンガスタジアムでの「子ども見守り顔認証サービス」があります(実証実験中)。見守りサービスでは、スタジアム内のボルダリング・プログラミングの教室にお子さんが到着すると、顔を認証して親御さんに連絡が届く仕組みも導入されています。見守りにおける活用方法の一例としては、通園バスの乗り降り時にお子さんの顔を認識して「バスから降りました」という通知を送ることも可能です。

ーーすべて顔認証のマンションもあると伺いました



2021年1月に国内初となるオール顔認証マンションを手掛けました。顔認証マンションでは、エントランス・メールボックス・エレベータ・自宅玄関まですべて鍵や暗証番号を使うことなく暮らすことが出来ます。現在、顔認証マンションは28棟が竣工しており1,000個以上に導入しています。

2022年8月に顔認証マンションで暮らす約150人にアンケートを実施し、嬉しい結果がありました。97%が従来の鍵より便利、95%が次に引っ越すときも顔認証が良いと解答されました。まだ誕生したばかりの技術なので、設計者もどれくらいの付加価値を持つかは想像しづらいかもしれません。しかし、一度「全く鍵がない生活」を体感されると、戻りたくないと思う方が多いようです。



また、入居を決めるポイントとして、新築や立地の次にセキュリティと答えた方が多く、間取りや賃料よりも上位という結果でした。旧来の鍵はもちろんスマートロックでも、閉じた直後に閉まるオートロックはカギ・スマホ忘れなどによる締め出しの可能性もあります。しかし、顔認証の場合は持ち忘れや取り出す手間がないので、毎回すぐに施錠しても困らない。そして、顔だと複製することもできないという安全性や安心感があります。

顔認証は真正性を持つ認証技術です。例えばスマートフォンのアカウントは電話番号などの変更で偽のアカウントを作れます。しかし一度「FreeiD」に顔を登録すると、名前や住所を変えようとも「この顔は登録されています」と言うエラーが出ます。顔なので、もちろん落とすことも盗まれることもありませんし、持ち忘れることもないという点でも一番良いセキュリティだと考えています。

ーー顔認証の登録は難しいのでしょうか?

どなたでも簡単に「FreeiD」アプリへの顔登録が可能です。管理会社が入居希望者の「FreeiD」アカウントを管理画面のお部屋ページに登録すると、入居者としての利用が開始できます。ご家族がいらっしゃる場合は、「FreeiD」のアプリから登録できます。家族登録されると、お子さんが共有玄関を通った時刻もアプリから確認できるようになります。また、遊びにいらっしゃる知人のためのワンタイムパスワードも発行できます。FreeiDアプリで発行したパスコードを友人にLINEなどで伝え、アプリから登録してもらうと、指定の日時の間、顔で出入りできるようになります。そして転居時には管理会社がアカウントを削除するだけなので、鍵交換が不要なのもメリットですね。


(オフィスエントランスの場合はマスクや検温機能も設定できる)

また、エリアによって顔認証を使うか、認証の閾値(いきち:反応する最低の値)をどうするか、なども調整できます。認証の閾値というのは、共有エントランスはカメラから5mの距離でマスクしていても認証する、自宅玄関では50cmの距離でマスクを外さないと認証しない、などの設定ですね。屋外にある防水防塵のデバイスから、室内の高感度のデバイスなど、異なるメーカーや規格のものと連携できるのが「FreeiD」の強みですね。

そして例えば、無許可で民泊を行う人がワンタイムカギ貸しを月に何回も使うとアラートが出る設定や、単身用のマンションであれば、家族登録ができない様にするなど、トラブルを未然に防ぐ仕組みにもなっています。現在、仲介会社向けのワンタイムパスワードを発行する準備も進めており、内見時に顔認証で入れるようになる予定です。
※オール顔認証内見予約サービスは2023年3月にリリース(詳細はこちら

ーー住む人にも、貸す人にもメリットが多い技術ですね!では、少し個人的なお話も教えてください。この事業を始めたきっかけを伺えますか?



実は父親も起業家です。1992年にインボイスという通信系の会社を創業しました。インボイスSEIBUドームという名前を覚えていらっしゃる方もいるかも知れません。私はもともと、この会社を継ぐつもりでいました。しかし、ある大きな不動産会社を買収し、その後のリーマンショックで不動産会社が倒産、インボイス社も大きな負債を抱え、父は退任しました。継ぐ会社がなくなったわけです。高校3年生の頃、父から「俺と一緒に働きたいなら、会社を作って俺の会社を買収しろ」と言われ、起業することを決めました。

大学時代にはシリコンバレーのベンチャーに出資し、インターンをしました。そのまま就職したいと思ったのですが、同僚はみんなスタンフォード卒のMBA保持者など、「新卒の日本人はいらない」と言われ帰国し、三井物産のICT事業部に入りました。

思えば父の会社を買収するための起業というのも自己満足かもしれません。いまは、実家が大変だったときに力を貸してくれた方や、シリコンバレーでのインターンを援助してくれた先輩たちに一生かけて恩返ししていきたい、という気持ちが強いです。

当社のカルチャー「成功確率を2倍にするより成功したときに2倍喜び合える組織でいる」というのは、まさに縁や恩を大切にしたいという気持ちとつながっています。共に喜べる存在が増えることを大切にしたいです。

ーー大変だったからこそ、人とのつながりを実感されているんですね

DXYZへの参画も、プロパティエージェント株式会社(DXYZの親会社)の代表取締役中西 聖さんとの個人的なつながりがきっかけでした。顔認証という最先端のテクノロジーで「会いたいときに手ぶらで会いに行ける世界を作る」という思いに共感しました。

一介のベンチャーが0から始めて、顔認証の事業を立ち上げるには、資金も時間もどれほどになるかわからない。自分で創業した会社を大きくして、名声や冨を得ることより、世の中を変えられるモノ・コトを起こせると信じて、DXYZへの参画を決めました。本当に全て、人とのつながり、ご縁でここまでの人生を歩んでいると実感します。

父は、現在のプロバスケットボール「Bリーグ」の前身となるbjリーグの立ち上げに関わり、初代会長を務めました。自分のためにお金を使うより、世の中のためになるコトを創ることにお金を使う父の背中を見てきましたので、私も日本の社会に面白いコトや魅力を生み出すコトを作っていく事業をしたいと思っています。



ーーありがとうございます、今後のDXYZが描く未来を教えてください

現在マンションやオフィスなど、顔認証が使える点を増やしています。この次は、顔認証に対応した公共交通などのモビリティで点をつなぎ線にする予定です。最終的には、顔認証が使える街と街がつながり、日本中手ぶらで、顔ひとつで生活できるようにしたいです。

今後、カメラの性能や顔認証の技術が進化するにつれて、日本でも顔認証はもっと手が届くサービスになっていくでしょう。スマートフォン同様、とても便利で無くてはならないありふれた存在になると考えています。そんなとき、街中にあふれる顔認証デバイスをつなぎ合わせられるのが「FreeiD」。顔認証が普及する起爆剤になれるよう、努力を続けていきたいですね。



ーーお仕事をしていて楽しい瞬間を伺うと「一個良いことがあれば3つ辛いことがある。喜びに浸るような瞬間は訪れていない」とお話になった木村代表。シリコンバレーから三井物産そしてDXYZの代表に、と順調に進んできたように見えて、大変な思いをしたからこそ、縁や恩を大切に進みたい、という熱い想いを持った方でした。これからどんどん成長する顔認証の分野、そしてリーディングカンパニーとして活躍するDXYZの今後が楽しみです。

取材協力

DXYZについて

会社名:DXYZ (ディクシーズ) 株式会社
代表者:取締役社長 木村晋太郎
所在地:東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー41階
設立 :2020年8月
事業内容:顔認証プラットフォーム事業
コーポレートサイトhttps://dxyz.co.jp/

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