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目次
高齢化に伴う、独居老人の増加や、下がり続ける会社員の給与による共働き世帯の増加など社会的構造の変容により、自宅を購入する際、二世帯住宅を検討される家庭は少なくありません。
この記事では、二世帯住宅にはどういった定義があるのか、メリットやデメリットはどういったことか、支払う税金の優遇措置など、二世帯住宅購入前に把握しておくべきことを簡潔にまとめました。
二世帯住宅の定義とは?間取り選びを慎重におこなうべき理由
二世帯住宅とは、もともと、旭化成ホームズが展開するブランド、ヘーベルメゾンの商品名として1975年に初めて登場しました。
その後、一般への認知が進み、ヘーベルハウスに限らず、他の住宅の場合でも使われるようになりました。
ここでは2世帯住宅の定義と、購入するときには何よりも間取りを慎重に検討しなければならない理由について解説いたします。
二世帯住宅の定義
先述の二世帯住宅の生みの親である旭化成ホームズではひとつの住宅にキッチンが2つあることを二世帯住宅の定義としています。
しかし、一般で広く認知されるようになった今となっては、そういった厳密な線引きは曖昧になっているようで、おおまかに親と子の2つの世帯がひとつ屋根の下で暮らすことを二世帯住宅と呼んでいます。
なお、税法や建築基準法など、法律のうえでは二世帯住宅という言葉はありません。
二世帯住宅は共同住宅や戸建、長屋などのどれかに分類されます。
ちなみに二世帯住宅と似た生活スタイルを表現する言葉に近居があります。
これは、ひとつ屋根の下で暮らすのではなく、同じマンションの別号室や近所に住まいを構えるという型で、お互いのプライバシーを尊重しながら助け合えるというものです。
二世帯住宅の間取り選びを慎重におこなうべき理由
二世帯住宅を購入する際にもっとも慎重に検討すべきなのが間取りです。
その理由は、住宅が長い期間済み続ける場所であり、その間に起こるであろう、いくつもの転機に備えておかなければ予想外の出費やトラブルに巻き込まれてしまうためです。
たとえば、親世帯の介護問題です。
万が一、親に介護が必要になった場合、生活のほとんどを寝室のベッドで過ごすことになります。
そうなると、寝室から他への動線が長くならないよう、浴室やトイレを寝室近くに配置するなどの工夫が必要です。
また、介護が不要な場合でも転倒防止のために各所に手すりを付けたり、段差をなくすなど、バリアフリー化は意識的に取り入れるほうが良いでしょう。
これらの工事は後ほど追加でおこなうこともできますが、多くの場合、割高になってしまうため購入時に併せて検討することをおすすめします。
また、子育てしやすい環境作りも重要です。
お子さんを見守りながら食事の支度や洗濯などができる動線は、家族が安心して暮らすために必要不可欠です。
さらに、リビング経由で動線を引くことで、家族が顔を合わせやすい環境になり、自然にコミュニケーションが生まれるようになります。
二世帯住宅の3つの型とメリット・デメリット
二世帯住宅には3つの型があります。
ここでは、その3つの型とそれぞれのメリットとデメリットを見ていきます。
二世帯住宅の3つの型
二世帯住宅はプライバシー確保の度合いや共用する設備によって3つの型に分けられています。
<完全同居型>
これは昔ながらの同居スタイルといえばイメージが付きやすいかも知れません。
すべての設備を共用とし、それぞれの家族で寝室を分けるという型です。
<部分共用型>
これは、玄関や一部の設備を共用するタイプの型です。
1階と2階で世帯を分ける場合などが多く、キッチンや浴室、トイレなどはそれぞれの世帯ごとに設置されます。
そのため、プライバシーの確保がしやすいスタイルです。
<完全分離型>
これは親世帯と子世帯とが完全に分離して生活する型を指します。
キッチンや浴室、トイレなどはそれぞれの世帯に設置されており、施錠可能な玄関も別々となるので、完全に別の住戸として機能します。
プライバシーが容易に確保できるスタイルでありながら、すぐにお互いを訪問できるので、近居に近いスタイルとも言えます。
3つの型のメリット
それぞれの型のメリットをみていきます。
完全同居型はすべての設備が共用となることから建築費や購入費を安価に抑えることが可能です。
また、同じ住戸内に同居しているので家族間の距離が近いという点もメリットです。
なお、将来誰も住まなくなった場合、一般の住宅として売出したり賃貸に出すことができます。
一部共用型は設備がわかれているため高熱費の按分がしやすいということが挙げられます。
また、ある程度はプライバシーも確保しやすいため、バランスが取りやすい環境です。
完全分離型はそれぞれが独立した住戸となっていることからお互いの生活を尊重しながら生活することができます。
また、他方が不在のときに勝手に家の中に入られるということもないので、不要なトラブルを避けることにも繋がります。
さらに、将来住人が居なくなった場合、1戸だけ賃貸に出すことも可能です。
3つの型のデメリット
完全同居型ではプライバシーを確保することが難しいといえます。
また、光熱費の按分も難しいので、事前に話し合いを必要とします。
一部共用型は、誰も住まなくなった場合の処分が難しくなります。
共用している玄関を分離させるなり、2つずつある設備を1世帯用に減らすなどの工事を必要とします。
完全分離型はそれぞれの設備や内装などが2つずつ必要となるため、その分、建築費や購入代金が高くなりがちです。
また、それらの設備の維持や修繕にも費用が必要になる点も注意が必要です。
二世帯住宅の節税効果
二世帯住宅は親世帯と子世帯が近い距離で関わりを持つことができるため、日々の生活や子育てや介護などを協力しておこなうことができる魅力ある選択肢です。
二世帯住宅の魅力は他にもあります。
ここからは二世帯住宅を活用した節税について見ていきましょう。
二世帯住宅の固定資産前節税
二世帯住宅の場合、要件を満たせば、小規模住宅用地の軽減措置を受けることができます。
構造上の独立性と利用上の独立性の2点の基準をクリアすることで、二世帯住宅はひとつの建物でも税務上は2戸として扱うことができます。
これにより、固定資産税の課税標準額が1/6、住民税が1/3に軽減される小規模住宅用地の適用範囲が200㎡から2戸分の400㎡へと倍増します。
また、新築であれば、建物の固定資産税が3年間1/2になる対象の範囲が120㎡から240㎡と2倍になります。
二世帯住宅の不動産取得税節税
構造上の独立性、利用上の独立性が認められれば、不動産取得税を節税することも可能です。
新築の場合、建物の40㎡から240㎡までの範囲において固定資産税評価額より1200万円の控除が可能です。
もし、2戸として取り扱うことができれば、当然、2倍の2400万円まで控除可能になります。
二世帯住宅の相続税節税
二世帯住宅の場合、相続税の支払いにおいて、小規模宅地の特例措置の要件を満たしやすくなります。
相続税の算出において、330㎡までの土地は固定資産税評価額を8割減額が可能で、相続人が配偶者の場合は要件がありません。
しかし、配偶者以外の相続人には次の2つの要件が課せられています。
相続税の申告期限まで居住および土地を所有し続けていること
被相続人と相続人とが区分登記をしていないこと
二世帯住宅で生活している際に相続が発生した場合、この2つの要件を満たしやすく、小規模宅地の特例措置を使える可能性が格段に高くなります。
なお、昔は完全同居型や一部共用型にしか適用ができなかった特例措置ですが、現在では完全分離型でも適用可能です。
まとめ
二世帯住宅は、日々の生活や家族に起きる転機を2つの世帯による、より多くの家族で協力していくことができる素晴らしい生活スタイルです。
さらに、税制上の優遇措置も受けられるのでとても魅力的です。
しかし、実際には、二世帯住宅用の建物は多くありません。
ご家族の状況に合わせた間取りなど条件を追加するとさらに限られてしまいます。
まずは二世帯住宅向き物件の検索をしてみて、購入のきっかけを掴んでみてはいかがでしょうか?
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