- いえらぶ不動産コラム>
- 住まいのノウハウ>
- 正直不動産最終回:文化財保護法と管理義務とは?
目次
2022年4月からスタートしたNHK総合の火曜ドラマで、山下智久さん主演の「正直不動産」が最終回を迎えました。
ドラマを通して、家の数だけ大切なものがあると気づけた方も少なくないと思います。
最終回では、管理委託契約をめぐる登坂不動産とミネルヴァ不動産の戦いと、「文化財保護法と管理義務」を軸に物語が展開されました。
今回も、あらすじと併せて不動産キーワードを解説します。
ぜひ最後までお付き合いください。
正直不動産最終回あらすじ:「誕生」
ミネルヴァ不動産が本気で登坂不動産を潰しにかかります。
その方法とは、登坂不動産が契約している管理委託契約をことごとく奪っていくというものでした。
また、町内会会長が亡くなり、その家と土地を相続することになった長男にミネルヴァ不動産がある契約を持ち掛けます。
しかし、その土地には文化財が埋まっていることが分かり…
そんな中、あることがきっかけで嘘がつけない身体になってしまった主人公の不動産営業マンの永瀬が、最終回では元どおり嘘をつくことができるようになります。
最終回の「誕生」には、どのような意味が込められているのでしょうか?
不動産会社同士の戦い!管理委託契約とは?
管理委託契約とは、大家さんが不動産会社(管理会社)に物件の管理をお願いする契約のことをいいます。
不動産会社は、大家さんから管理手数料を受け取る代わりに、管理業務全般を請け負います。
煩雑な業務を大家さん自らおこなうことは大変なので、その道のプロである不動産会社に業務全般を委託するのです。
それでは、管理委託契約の業務内容や契約の種類についてご説明します。
管理委託の一般的な内容
管理委託の一般的な内容は次の通りです。
・入居者募集
・契約の締結および更新
・家賃の入金管理
・家賃滞納の督促および回収入居者からのクレーム対応
・退去時の立ち会い
マンション一棟すべてを所有する場合には、次の2点も含まれます。
・建物、設備の保守点検およびトラブル対応
・清掃、メンテナンス
このように、専門性を要するものから手間暇のかかるものまで、さまざまな業務を請け負ってもらうことができるのです。
一般的に管理委託料は家賃収入の5%といわれていますが、ドラマの中でミネルヴァ不動産は委託料を2%にして、登坂不動産から管理委託契約を奪っていきます。
2種類の管理委託契約とは?
不動産の管理は専門的な業務内容が多く、自主管理は大変です。
それを一手に担うのが管理会社であり、その会社と結ぶ管理委託契約には2種類の契約があります。
ここでは、その2種類の管理委託契約についてご説明します。
一般管理契約とサブリース契約
①一般管理契約
一般管理契約とは、大家さんがおこなうはずの業務を管理会社が委託を受けておこなう契約のことをいいます。
一般管理契約のメリットは、賃料・敷金・礼金などの賃貸借契約の内容や条件を大家さんが取り決めることができるため、比較的高い収益が見込めることです。
②サブリース契約
サブリース契約とは「一括借り上げ管理契約」のことで、不動産管理会社が大家さんから物件を借り上げて、その管理会社が入居者と賃貸借契約を直接結ぶ契約形式のことをいいます。
ドラマの中で、町の長老・平尾さん宅を相続することになった甥の平尾晴哉(星田英利さん)にミネルヴァ不動産が持ちかけた契約がサブリース契約でした。
サブリース契約では、「保証賃料」が管理会社から大家さんに支払われます。
保障賃料は、管理会社が査定した相場賃料に90~95%の率をかけた料金が一般的です。
家賃滞納や空き部屋が生じた場合でも「家賃収入」の保証があることが、一般管理契約との大きな違いになります。
また入居者との契約も、大家さんと入居希望者ではなく、管理会社と入居希望者との直接契約になるため、大家さんと管理会社による確認の手間や時間を省くことができます。
家と土地を相続した甥の平尾晴哉は安定した家賃収入に大喜びしますが、この土地であるものが見つかります。
文化財の発見!文化財保護法と管理義務とは?
町の長老・平尾さん宅を更地にした際に土器のかけらのようなものが見つかります。
もし所有する土地から文化財が発掘されたら「すごい!」と驚くだけでは済まないのです。
管理義務とは?
不動産の相続を承認した場合には、維持管理の責任や固定資産税のような納税義務も負担することになります。
そうなるとその不動産の相続を放棄したいと考えるかもしれませんが、実は相続を放棄しても相続人には放棄した不動産の管理義務が残るのです。
ドラマの中では甥の平尾晴哉は別の土地で家を持ち家族と暮らしているのですが、相続した土地の管理義務は消えることはないのです。
文化財保護法とは?
管理義務が残ったままの土地にアパートを建て、ミネルヴァ不動産とサブリース契約を結んだ甥の平尾晴哉に思わぬ出来事が起きます。
それは、相続した土地から文化財が出土したことです。
日本には、縄文時代の土器や弥生時代の石器、飛鳥・奈良時代の彫刻や工芸品や、平安時代の書籍や典籍、鎌倉・室町時代の古文書や銭などの埋蔵文化財が点在しています。
もちろん、どこに埋まっているのかは誰にも分かりません。
実際に遺跡や文化財が出土した場合は、都道府県や政令指定都市などの教育委員会が埋蔵地の処遇を決定することになります。
重要な文化財と認められる場合には、発掘者は現状を変更せずに文化庁長官に届出をおこなわなければいけません。
場合によっては最大3か月の間、建築工事が行えないケースもあります。
それだけではなく、発掘調査が長期間に渡り、調査費用の総額が大きくなる場合には、土地所有者に負担が生じる場合もあるのです。
文化財の調査・保護が目的なので、工事が遅延する場合もありますが、出てしまった以上はそれを理解して届出や発掘調査に協力する姿勢が大切です。
発掘された出土品は誰のもの?
出土された埋蔵文化財は、法的には「拾得物」として扱われます。
土地の所有権があったとしても、その土地の地下に埋まっている埋蔵品は誰のものか分からない「落とし物」なのです。
そして、拾得物が文化財と認められる場合は、原則的に都道府県の所有物となります。
この場合には、発見者に対して文化財の価値相当額と同額の「報償金」が支払われるのが通常ですが、出土した地域や出土状況、文化財の歴史的価値によっては報償金が支払われない場合もあります。
埋蔵文化財は国民の貴重な共有財産なので、出土した場合はしかるべき対応を心掛けることが大切です。
まとめ
管理委託費を2%にして登坂不動産の契約を奪っていくミネルヴァ不動産に対し、元どおり嘘をつくことができるようになった永瀬は嘘で契約解除を阻止しようとします。
しかし、永瀬は嘘をつかず正直に大家さんと向き合うことで、結果的に契約解除を免れます。
永瀬は、「家の数だけ人生があるということ。その人たちの数だけ大切なものがあるということ。これからも俺は家を通じて多くの人の人生に関わり続けると思う。」といいます。
正直不動産を通して、未知の世界だった不動産について知ることができて、いろいろな人の家と人生を垣間ることができました。
「衣食住」の「住」には、夢と希望が詰まっているんですね。
正直不動産シリーズでご紹介した不動産キーワードが、これからの住まいへのヒントになると幸いです。
また、6月14日(火)夜10時にはNHK総合にて、「正直不動産番外編」の放送があります。
こちらもぜひ、併せてご覧ください。
いえらぶでは物件や不動産会社の口コミを見て比較できます。
よりクリアな情報から、あなたにぴったりの
いい家を選んでみませんか?
「いい家」を探す
Writer この記事を書いた人
- いえらぶコラム編集部
- いえらぶコラム編集部は、皆さまの住まい探しに役立つ知識や、暮らしを豊かにする情報を発信していきます。