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- 事業用定期借地権で土地活用をはじめよう!メリット・デメリット、注意点を知っておこう!
目次
使用していない土地をそのままにしておくと、管理の手間がかかるほか、固定資産税や都市計画税を払い続ける必要があります。
このように所有するだけでコストがかかってしまうので、土地を貸し出して収益を得たいと考えている方も多いでしょう。
しかし、土地を貸すときは、賃貸物件を経営するときよりも注意すべき点が多くあります。
今回は、事業用に土地を貸し出す事業用定期借地権についてご紹介します。
事業用定期借地権とは
周辺の交通量が多かったり公共交通機関を利用しづらい場所にある土地は、住居用より事業用として貸し出すのに向いています。
借地権の種類や事業用定期借地に向いている土地の特徴を知って、事業用定期借地として活用することも考えてみましょう。
<定期借地権の種類>
定期借地権とは土地を貸し出して地代を受け取る権利のことで、借地借家法には5つ定められています。
事業用定期借地権も借地借家法による定期借地権の一つですが、ほかの定期借地権と異なるのは、事業用として土地を貸し出すという点です。
契約期間は10年以上50年未満となっていて契約の更新はなく、契約終了後は借主が更地に戻して返却します。
<事業用定期借地権の特徴>
事業用定期借地権の最大の特徴は、事業のための土地であるということ。
しかし、ほかにも事業用定期借地権は必ず公正証書で契約するという特徴があります。
これは定期借地制度の濫用を防ぐことを目的としており、契約時には、貸主と借主が公証役場によって作成された公正証書に署名・捺印します。
公正証書にならない契約書では、契約は無効になるので注意しましょう。
<事業用定期借地権に向いている土地>
事業用定期借地権に向いている土地は、ある程度大きさがあり商業地にある土地です。
事業用定期借地はコンビニや飲食店、レンタル店やパチンコ店などとして活用されることが多いので、数百坪から数千坪の広さが必要となるでしょう。
そのため、数十坪程度の土地では使いづらく、事業用定期借地としては向いていません。
また、事業用定期借地権は中途解約ができないので、長期間使わない土地であることが条件となります。
事業用定期借地権のメリット・デメリット
事業用定期借地権で土地を貸し出すなら、メリットとデメリットを知っておきましょう。
<事業用定期借地権のメリット>
収益が安定している
事業用定期借地権は、借主から地代を徴収し収益を得ます。
土地に自分で店舗を立て経営する方法よりも、土地そのものを貸し出すので事業リスクを負うことがありません。
一般的に事業用定期借地に向いているような土地は買手が限られる場合が多いので、売却も難しいでしょう。
しかし、事業用定期借地として活用すれば、低リスクで安定した収益が期待できます。
地代を高く設定できる
住居用と事業用を比較すると、収益の観点から事業用の土地の方が地代は高くなります。
事業の収益性によっては、地代をさらに高く設定できることもあるでしょう。
土地活用でとにかく収益をたくさん得たいという方は、事業用定期借地権がおすすめです。
相続税の節税ができる
定期借地権で貸し出している土地は、相続税評価額が減額されるので節税が可能です。
減額される評価額は、定期借地権の残りの期間によって異なります。
15年を超える期間:20%
10年超~15年以下:15%
5年超~10年以下:10%
5年以下:5%
たとえば、1,000万円の相続評価額である土地を、事業用定期借地として30年で貸し出したとします。
それから10年が経って相続が発生した場合、残りの期間は20年間なので、3,000万円×20%=600万の評価減となります。
また、貸家建付地であれば20%の減額、小規模宅地の特例を適用できる土地であれば最大80%の減額されるので、かなり相続税を節税できるでしょう。
<事業用定期借地権のデメリット>
中途解約はできない
事業用定期借地権のデメリットとして、一度契約してしまうと中途解約はできない点があげられます。
そのため、賃貸物件などほかの方法で土地を活用しようとしても、契約満了まで待たなければなりません。
事業用定期借地権で土地を貸し出す際は、これからのライフプランをしっかり立てておく必要があります。
固定資産税は減額されない
建物を建てられれば固定資産税を減額できる特例がありますが、事業用定期借地の場合は、固定資産税の減額はできません。
建物を解体して事業用定期借地として貸し出す場合、特例が受けられなくなるので注意しましょう。
<事業用定期借地権の注意点>
青空駐車場は対象にならない
事業用定期借地権は、事業用の建物を所有することを目的としています。
そのため、青空駐車場のような建物がない駐車場は「建物の所有している」とは見なされず、事業用定期借地権の対象にはなりません。
期間によって建物買取請求ができる
事業用定期借地権の契約期間が30年以上50年未満であれば、借主による建物買取請求が可能です。
建物買取請求とは、契約満了時に借主が建物を買い取るよう請求できる権利です。
契約時には、「建物買取請求権はなし」という特約を設けておきましょう。
事業用定期借地を利用して収益を得るには
事業用定期借地権を活用すれば、事業用として土地を貸し出し、地代を得ることが可能です。
<収益の計算方法>
事業用定期借地の収益は、以下のように計算できます。
地代-(不動産所得による所得税・住民税+固定資産税・都市計画税)=収益
借主が支払う地代から不動産所得による所得税や住民税、固定資産税などの税金を差し引いたものが収益です。
土地は第三者に貸し出していますが、あくまでも土地の所有者は貸主になるので、固定資産税や都市計画税の納税義務は発生します。
<事業用定期借地の地代>
一般的に定期借地権の地代相場は、路線価で求めた土地価格の約2%となります。
定期借地権のなかでも事業用定期借地権の地代がもっとも高く、路線価で求めた土地価格の6%ほどです。
また、事業の売上や純利益と土地の貢献度を考慮して地代を決める収益分析法もあります。
この方法では、借主の支払い能力に合わせて地代を設定するということも可能になるでしょう。
収益分析法は実際に売上や純利益を調べたり、土地の貢献度を算定したりするので、専門家に依頼する必要があります。
<事業用定期借地の活用例>
最後に、事業用定期借地の活用例をご紹介します。
大手コンビニでは出店ガイドラインとして、
・車の通行量などが多いローサイドの土地
・契約期間は15年以上
・敷地面積は120坪以上
・用途地域は第一種低層住居専用地域、または工業専用地域以外
としています。
また大手パチンコ点は、
・郊外にある土地
・契約期間は20年以上
・敷地面積は2,000坪以上
・用途地域は準工業・工業・商業・近隣商業など
これらからもわかるように、事業用定期借地はある程度広さが必要です。
土地が小さいという場合は近隣の住民に相談し、共同で事業定期借地権を設定するとよいです。
それぞれで同じ事業者と契約する方法もありますが、お互いに借地契約を結び、さらに代表者が事業者と借地契約を結ぶ方法があります。
>>土地の用途地域とは?13種類の区分を知って不動産購入に役立てよう!
まとめ
ローサイドにあるなど住居用としては活用しづらい土地は、事業定期借地権を活用することをおすすめします。
事業用の土地は通常よりも地代を高く設定でき、高い収益が望めます。
さらに相続税対策としても有効なので、この記事でご紹介した注意点に気をつけてうまく土地活用をしてみましょう!
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