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- マンションは相続放棄できる?相続放棄の手続きや注意点を知っておこう
目次
相続する遺産は不動産だけではなく、ローンの残債や借金などマイナスの遺産も含まれます。
また、相続するためには相続税などを支払う必要があり、かえって負担が大きくなることも。
とくに、マンションなどの不動産は毎年固定資産税や管理費、修繕費など出ていく費用も大きいため、相続はせずに放棄したいと考える人も増えています。
そこで、今回はマンションの相続を放棄する際の流れや注意点を紹介します。
マンションの相続放棄は可能?
そもそも、マンションの相続を放棄することは可能なのでしょうか?
実際には可能ですが、マンションだけを相続放棄することはできません。
相続放棄は特定の遺産のみに対しておこなえず、マンションを相続したくないのであれば、その他の遺産もすべて放棄する必要があります。
<放棄したマンションはどうなる?>
では相続放棄したマンションはどうなるのでしょうか?
相続放棄の手続きは相続人ごとでおこなうので、相続人が複数いる場合は他の相続人に財産がすべて継承されます。
一般的に遺産を相続放棄するということはマイナスの遺産が財産を上回ってしまい、負担が大きい場合が多いでしょう。
そのため、相続放棄する旨を他の相続人にも事前に伝えておくべきです。
すべての相続人が放棄した場合は、家庭裁判所に相続財産管理人の選出を申し立てます。
相続財産管理人は家族以外で被相続人と親密であった特別縁故者などに遺産を付与したり、遺産の清算をしたりします。
マンションのような不動産であれば、相続財産管理人が売却し現金にして国庫帰属、つまり「国のもの」になります。
<放棄に必要な費用はどのくらい?>
予納金
相続財産管理人が財産の管理をおこなう際にはやはり費用が必要になるので、あらかじめ予納金と呼ばれる費用を納めます。
予納金は家庭裁判所が決定し、一般的に20万円~100万円になることが多く、財産管理人の経費や報酬になります。
弁護士費用や司法書士に支払う費用
相続財産管理人の申し立てや誰が相続人なのか調査する際には、専門的な知識や手続きが必要なので時間や手間がかかることもあります。
そのため、弁護士などの専門家に依頼するケースも多く、依頼内容にもよりますが3万円~5万円ほど用意しておくとよいでしょう。
<売却も考えるべき>
マンションの相続放棄をする前に、売却も検討してみましょう。
近年、中古マンションの需要は増加していますし、売却では一定の条件を満たせば減税措置も受けられます。
相続破棄をしてしまうより、売却で収益が得られそうであれば、検討すべき方法の1つです。
相続するマンションの条件を今一度確認するようにしましょう。
マンションを相続放棄する流れ
ここでは、実際にマンションを相続放棄する際の流れについてご紹介します。
<相続には3つの方法がある>
相続が開始されたことを知った日から3ヶ月の期間で、相続方法を以下の3つから選ばなければなりません。
単純承認
全財産を無条件で相続することで、マイナスの財産も引き継ぐことになるので、借金なども背負う可能性があります。手続きを何もしなければ自動的に単純承認になります。
限定承認
プラスの財産の範囲内でマイナスの遺産を相続する方法。手放したくない財産がある場合に有効です。期限内に家庭裁判所に申請する必要があります。
相続放棄
遺産は一切相続せずに放棄すること。こちらも期限内に家庭裁判所に申請しましょう。
<手続き①相続人を調査し確定する>
相続が発生したら、他に法的に定められた相続人がいるのかどうか確定する必要があります。
遺産分割協議では相続人全員の合意が必要であり、後に他にも相続人がいたことが分かれば再度、協議をおこなわなければいけません。
そのため、被相続人の戸籍を確認し法的相続人を確認し、確定しましょう。
<手続き②プラスの遺産とマイナスの遺産を確定する>
相続する遺産にどういったものがあるのか、調査しましょう。
具体的には、ローンや他の不動産、連帯保証の借金など的確に把握することが重要です。
とくに、マンションなどの不動産は、権利関係を把握することが大切です。
固定資産税評価額やマンションの所在地など正確に知っておきましょう。
また、遺産の総額を考える際には、そのマンションにどれくらいの価値があるのか評価する必要があります。
<手続き④相続放棄を家庭裁判所に申請する>
相続人と相続財産を確定し相続放棄をすることを決定したら、3カ月以内に家庭裁判所に申請しなければなりません。
相続放棄申請書と必要書類を家庭裁判所に提出した後、受理通知書が届きます。
<手続き⑤財産管理人の選出を家庭裁判所に申請する>
先ほどもお話ししたとおり、財産管理人が選出され財産の清算をおこないます。
最終的に、残った財産は国庫に帰属させます。
相続放棄する際の注意点とは?
遺産相続には決めるべきことや手続きも多くなり、分からないことも多くあるでしょう。
そこで、ここでは相続破棄をする際に気をつけるべき注意点をお伝えします。
<注意点①相続方法を決定するまでは遺産を処分しない>
相続方法を決定するまでは、遺産を処分しないように気をつけましょう。
相続破棄をする予定だったのに、単純承認とみなされてしまったという事態になりかねません。
不動産の売却をしたり家財を処分したり、賃貸マンションの賃料を振り込む口座を変更したりなど、なるべく相続方法が決定するまでは手をつけないほうが賢明です。
マンションから被相続人の形見として遺品を持ち帰る場合もありますが、その遺品が高価なものであれば単純承認と判断されることもあるので慎重な行動を取りましょう。
<注意点②相続破棄をしても管理しなければならない>
マンションを相続破棄した後も、法律によって相続財産管理人が選出されるまでは管理責任が残ります。
そのため、マンションの状態や部屋の点検、分譲マンションであれば管理組合との連絡などが必要です。
相続破棄をしたからといって、財産に対する責任がすべてなくなるわけではないと認識しておきましょう。
<注意点③相続破棄は撤回できない>
相続破棄を選択した後、新たな財産が見つかった場合でも基本的に、相続破棄の撤回はできません。
たとえ相続方法の決定期限である3ヶ月以内であっても、一度家庭裁判所が相続破棄を受理してしまうと取り消せないのです。
撤回ができない選択だからこそ、本当に相続放棄をしていいのか、遺産を慎重に調べ決定しましょう。
<熟慮期間の延長も可能>
相続方法を決める熟慮期間ですが、実は期間の延長が可能です。
基本的に、3ヶ月を過ぎてしまったり裁判所に申請しなかったりすると、自動的に単純承認になってしまうため、期間内で相続方法の手続きをする必要があります。
しかし、必要書類が揃わなかったり遺産の調査が間に合わなかったりする場合は、期限延長の申請をすれば認められるケースがあります。
延長の申請書と添付書類を家庭裁判所に提出し、1ヶ月~3ヶ月ほど延長されることが多いです。
申請費用は、相続人1人に対して収入印紙として800円かかります。
まとめ
マンションは相続する際や相続後も税金や修繕費を支払う必要があり、相続放棄をしたいと考える人も少なくありません。
しかし、相続放棄は申請をおこなう期限や必要な手続きがあるため、あらかじめ相続が発生する前に把握しておくことがよいでしょう。
さらに、原則として相続破棄は撤回できないため、相続した場合のことも慎重に検討する必要があります。
こちらの記事ではマンションを相続した場合と売却した場合について解説しています。
ぜひ参考にしてください。
>>マンションの相続に必要な費用と手続きについて解説!相続税の計算方法もご紹介!
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