インタビュー

空き家・保護動物・障がい者ホーム、全てに取り組む「アニスピ」藤田英明 代表

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いえらぶGROUPでは、不動産流通の活性化だけでなく、全国空き家管理NAVIへのシステム提供などを通じて空き家問題の解決にも尽力しています。今日は空き家の活用だけでなく、ペットの殺処分、障がい者向けのグループホーム不足という3つの問題を解決するアニスピホールディングスの「わおん」1,000事業所記念イベントに伺い、代表の藤田英明さんにお話を聞きました。

【動画】



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障がい者グループホーム『福祉リベンジャーズ』【全国事業所NO.1決定戦】レポート


2022年12月14日、両国国技館で「全国事業所NO.1決定戦」が開催されました。全国からアニスピホールディングスの事業者や協力業者、メディア関係者などが終結した一大イベント、いえらぶGROUPも取材に伺いました。会場に入った瞬間から大音量で音楽が流れ、オープニングは「SOCIAL WORKEEEZ」の会場を巻き込むヒップホップダンス。福祉企業のイベントですが、アニスピの描くかっこいい福祉を体現した派手なスタートです。


藤田代表の開会あいさつ、片山さつき参議院議員・一谷勇一郎衆議院議員のお話、東西NO.1事業所によるプレゼンテーション、乙武洋匡さんによる講演会の後、優秀な取り組み・スタッフ・チームを表彰し、最後には日本一の事業所が千葉県船橋市の「ウェルスター株式会社」笠村さんに決定し、トロフィーが授与されました。


創業時、入居者さんがいない時期が続いたと伺ったので、全国一位のトロフィーを受け取る時には従業員の皆様も本当に嬉しそうで、見ているこちらも嬉しくなりました。おめでとうございます!

最優秀スタッフに輝いた20歳の女性は勤続3年目!「入居者さんと接して生まれたリスペクトが周りに伝わり、いい社会になっていくように、これからも頑張ります」という言葉から、アニスピを中心として幅広く福祉業界が盛り上がっていくのを予感させました。


サッカー留学先のブラジルでストリートチルドレンに出会い福祉の道に

ーこんにちは。いえらぶGROUPです。本日は素敵なイベントにお招きいただきありがとうございます。すっごいイベントですね。


アニスピホールディングス代表の藤田英明です。今日はご来場いただきありがとうございます。そうでしょう?福祉のイメージをがっつり変えてやろうという意気込みで、スタッフ一同気合い入れて準備してきました。

ー今日は「わおん」の1,000事業所開設記念イベントと伺っています。

はい、2018年に立ち上げた事業が、2022年の7月に1,000事業所を突破したことを記念しています。一軒目は千葉県の八千代市、何の変哲もない空き家を借りて、リノベーションして、許可をとって、と全部自分一人だったので、ずいぶん多くの仲間が加わってくれたなぁと感慨深いです。

福祉事業に取り組んだきっかけ

ー福祉事業を始めたきっかけを教えてください

この事業に関心を持ったきっかけは、高校時代にあります。17歳の時、サッカーでプロを目指して「サッカーの本場で戦いたい」とブラジルに留学しました。現地に行って驚いたのはチームメンバーのハングリーさはもちろんでしたが、「貧富の格差」や「ストリートチルドレン」を目の当たりにしたことです。それまでは「自分はサッカーが上手くなりたい」という思いで生きてきましたが、「自分の人生は人の役に立つためにある!」と思い、福祉の道を志しました。

帰国後、大学で福祉(專門は精神保健)を学び、社会福祉法人で働き始めました。2001年ですから私が26歳の頃、高齢者施設に入りたくても入れない「待機高齢者」が40万人を超え、介護疲れによる家族のメンタル問題や虐待などが社会問題化していました。施設に初めて来る方のご家族は疲れ果てていて、「これまで自分が学んできたことを活かせば、少しでもこの問題を解決できるんじゃないか?」と夜間対応型のデイサービス事業で起業しました。起業後に厚生労働省と喧嘩したり、障がい者の雇用策として焼鳥屋を開業するもあえなく失敗したり…このあたりはYouTubeで語っているので是非見てください。

「わおん」事業のきっかけは空き家に関する法改正


ー「わおん」事業では空き家だけでなく様々な問題を解決してらっしゃると聞きました。

「わおん」では、使われていない「空き家」を買い取り、「保護動物」がいる「障がい者向けグループホーム」として活用します。いずれも大きな社会問題となっている(※1)ものを全て解決し、なおかつ事業としても黒字で成立させる事が可能です。

動物との共生はアニマルセラピー効果(※2)もあり、心が落ち着いたりストレス軽減にも役立つんです。怒りやすい入居者さんが、犬とのコミュニケーションをきっかけに怒る回数が減ったという話も聞いてます。ただ、「空き家で介護とは何事だ」というご指摘があったり、事業の開始当初は信用が足りず銀行からの融資で苦労することもありました。

空き家に注目したのは、2019年の建築基準法改正で「200平米までは用途変更なしで自由に使える」となった事でした。ただ、空き家の75%が旧耐震であり構造に不安があったり、空き家の40%は市街化調整区域にあり(※3)、増改築が原則不可という問題もあります。また、新築ではないので部屋の大きさや建築面積などの問題にもぶつかります。



アニスピは、グループ企業に「空き家活用研究所」があり、必要とするオーナーに対しては彼らと連携して物件を提供し、有効な不動産活用を促進しています。

幾多の課題を乗り越え、障害福祉への理解と熱意を持ったオーナー達がグループホーム立ち上げを成功させています。その中でも特に独自でユニークな取り組みをしている方たちが、本日のグランプリに来ている皆さんです。

成功のポイントは、まずオーナーの熱意です。次に大事なのが、購入した不動産をきちんと収益物件に変えることでしょうか。グループホームは入居する方にとって不可欠なインフラとなりますので、事業が継続できることが最重要です。つまり経営が健全なこと、これは弊社の蓄えたノウハウやチャットワークなどを通じたコミュニケーション、月に10回行う各種勉強会でレベルを高めています。

そして、法令の理解も必要です。グループホームは寄宿舎扱いなので、居室における採光などの細則を理解することも必要です。これらを踏まえたうえで、ドミナント出店をすることで、継続して利益が出る経営体制が作れます。

空き家は購入することが多いのですが、元の所有者が事業に大して偏見がある場合もあるので、事業性(規模)と社会性(障がい者福祉)そして具体的な活用事例を新聞記事などをもとに提示して理解を得られるよう努めています。

グループホームを立ち上げた後には、地域清掃やお祭りなどへの参加、事業者に求められる消防訓練に地域を巻き込んで実施したり、地元の方々とのコミュニケーションも大事にしています。地域からペットの世話係を募集して、地域とのコミュニケーションをはかるホームもあります。グループホームは、ともすると心理的に距離を置かれるので、ペットをきっかけにコミュニケーションが生まれて、障がい者への理解も深まるんですよね。

最近ちょっと考えているのは、公団マンションや社員寮などをグループホームに展開できないかな?ってことですね。団地は1950年から70年ごろに建築されたものが多く、現在空き家が増えていてスラム化も懸念されています。これらを行政が仕切ってグループホームなどへの転用を可能にしてくれたら、有効な不動産資源活用ができるよなぁということです。

福祉業界全体を盛り上げていきたい


一般の方にも広くアニスピを知ってもらうために、最近ではYouTube・Facebook・Instagram・TikTokと多くのSNSを活用して福祉事業について発信しています。みなさんがほんの少し介護・福祉・動物の殺処分・空き家問題に関心を持ってくれるだけで、社会は大きく変わります。これからも、福祉業界全体を盛り上げるためにも楽しんでSNSをやっていきたいですね。

また、今日のような大会で、「わおん」事業全体を盛り上げて全事業所の運営力向上を図っています。事業所だけではなく、個々のスタッフや独自の取り組みなどを表彰することで、みんなが長所を生かせると良いですよね。


福祉業界全体の事をお話しすると、まず、他業種に比べて極めて倒産率が低く、マーケットが拡大している特徴があります。現在の障がい者数は全国で1,160万人(※4)、福祉の国家予算は3兆円に上ります。障がい者福祉においては特に、病院から地域へ移行していく流れになるのはわかっていましたが、明らかに受け入れする場所が足りないため、グループホーム事業を行っています。

また、福祉業界はまだまだアナログの業界です。弊社では、オーナーさんとのコミュニケーションはチャットワーク、わおん公式LINE、動画視聴サービスを使用しています。本部ではハブスポット、トークノートを使用してます。これでもたぶん、福祉業界ではIT化されているほうじゃないかなぁ。また、当社では動画視聴サービス等を通じて月に10回ほどの福祉勉強会を実施しています。

これからは、e-ランニングを使った教育システム構築、カメラによる行動分析、それに伴う個別支援計画書の作成ツール作成を考えています。また、RPAによる集計の自動化、自動行動分析ツールも入れたいですね。

今後のビジョンも少し話しておきましょう。これまでは、ハウジングファーストで障害を持つ方の住まいの提供をしてきました。次は、就労です。入居者さんが社会で働き収入をしっかり得て税金を国に収める仕組みを作り全国に展開します。まだまだここから、アニスピはでっかいことをやっていきますので期待してください。

当社に興味を持った方は、本日のイベントを見ていただくと、事業内容や社風がよくわかります。ぜひ公開予定のYouTubeを楽しみにお待ちください(12/15公開YouTube 1000拠点の中のNo1を決定する「福祉リベンジャーズ2022」を開催しました!!)。また、アニスピホールディングスでは、メンバーを絶賛募集しています。人間福祉と動物福祉に共感できる人、受動型人間では無く発信型人間、健康で元気な人、どれかに当てはまる人は「わおん」事業に参加してみませんか?

ー藤田社長、ありがとうございました。福祉のイベントと聞き、少し落ち着いた雰囲気を予想して伺ったのですが、本当に良い意味で裏切られるイベントでした。まさかの両国国技館、そして大音量の音楽と勢いのあるプレゼンテーション。

当日の乙武洋匡さんの講演で「どんどん自分たちの目にする当たり前を変えていく」というお話がありました。まさに、アニスピは福祉の常識を塗り替えていく企業かもしれません。いえらぶGROUPも負けずに、不動産業界の常識を塗り替えるべく、日々精進しなきゃと改めて思いました。興味を持った方は一度、藤田代表のYouTubeをご覧になってはいかがでしょう?そしていえらぶGROUPのYouTubeもお忘れなく。

※1 空き家は2018年に全国で848万戸以上(総務省:平成30年住宅・土地統計調査)、2020年度には2万3千頭以上の犬猫が殺処分(環境省:犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況)、2019年には、障がい者総数964万人に対して、18-64歳の在宅者数377万人(厚生労働省: 障害者の就労支援対策の状況 )
※2 【日本獣医師会】高齢者福祉施設等で実施される「アニマルセラピーについての効果」の検証事業 http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06101/06_3b.htm
※3 【総務省】 平成30年住宅・土地統計調査
※4 【指定都市市長会】障害者の計画相談支援の充実に向けた提言の方向性(案)

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