- いえらぶ不動産コラム>
- 住まいのノウハウ>
- 外国籍の方が不動産売却をおこなう前に知っておくべきこと
目次
物価が安く、食べ物が美味しくて、治安の良い日本は世界の国々のなかでも人気の高い国のひとつです。
そんな中、24年ぶりに到来した円安相場によって、外国籍に方にとって、日本の市場への投資はますます魅力的なものになっています。
この記事では、魅力を増す日本の市場のうち、不動産の売却にスポットを当てます。
外国籍の方が不動産取引をおこなう際に必要な手続きや必要書類、税金の支払いについてまとめました。
外国籍の方でも不動産取引ができる
日本の不動産は取引する人の国籍を問いませんし、取引において制限を受けることもありません。
建物や土地を含め、すべての不動産を外国籍の方が自由に取引できる国は世界でも珍しく、日本の他には、アメリカやイギリス、フランスなどごく僅かな限られた国でしか認められていません。
ここでは、外国籍の方が不動産売却をおこなう場合の代理人制度や適用される法律などを見ていきます。
外国籍の方でも日本の不動産売却を制限なくできる
日本の法律では、国内にあるすべての不動産取引は国籍によって制限されることなく、自由におこなうことが可能です。
在留外国人や訪日外国人の人数は毎年、右肩上がりで増加傾向にあり、今後、日本での不動産投資やセカンドライフを日本で過ごすための自宅や別荘の購入など、外国籍の方による日本の不動産取引も増加していくことでしょう。
しかし、不動産取引では、日本人ですら戸惑う手続きが必要です。
また、契約手続きを日本国内でおこなわなければならず、書類も全て日本語表記です。
そのため、あまり日本語や風習に慣れていない外国籍の方にとっては高いハードルだと言えます。
外国籍の方は代理人を立ててスムーズな不動産売却を
日本の商習慣や言葉に不慣れな外国籍の方が、ひとりの力で不動産売却を進めることは、困難を極め、思わぬトラブルを招いてしまう恐れもあります。
それを防ぐために、多少、費用が掛かったとしても代理人を立てることをおすすめします。
代理人を立てることで、日本に居なくても手続きをすることが可能ですし、日本語で書かれた契約書や各種書類の内容などを代理人に説明してもらうことで、安心して取引をおこなうことができます。
必要な手続きの内容を事前に確認して、代理人へ依頼するかどうかを検討してみると良いでしょう。
不動産売却には日本の法律が適用される
日本の不動産取引は外国籍の方でも自由におこなうことができますが、誰が取引をするかに関わらず、すべての取引が日本の法律に則りおこなわれることとなります。
たとえば、民法・宅建業法、税法、登記法などは取引において頻出の法律です。
もし、外国籍の方が不動産売却をおこなう際には、これら、必要な法律を事前に理解しておく、もしくは理解している代理人を立てておくほうが良いでしょう。
万が一、法律理解が半端な状態で手続きを進めてしまうことで、取引を中止することになったり、損害を被る結果となってしまうこともあるので注意が必要です。
外国籍の方が不動産売却するときの必要書類
日本の不動産を売却するために提出しなければならない必要書類は外国籍の方も日本の方も同じです。
しかし、外国籍の方は、場合によって必要な書面が用意できないこともあります。
ここでは、売買の当事者である外国籍の方が、用意しなければならない必要書類と、用意できない場合の代替書面について、説明いたします。
入手に時間のかかる書面も含まれているので、しっかりを押さえておくようにしましょう。
外国籍の方の必要書類は住民票の入手がポイント
不動産の売却に必要な書類が下記のとおりです。
身分証
権利証または登記識別情報通知書
固定資産評価証明書
住民票
印鑑証明書
これらの必要書類のうち、住民票と印鑑証明書の取得がポイントになります。
なぜなら、住民票と印鑑証明書は日本に住民登録のある方であれば、問題なく取得可能ですが、非居住者など住民登録のない方は用意することができないからです。
しかし、これらの書類が取得できないと不動産の所有権移転登記ができなくなってしまいます。
それを解決するためには代替書類を用意する必要があります。
住民票と印鑑証明書の代替書類
住民票と印鑑証明書の代替書類にはいくつかの種類があります。
もっともポピュラーなのは宣誓供述書を使ったものです。
宣誓供述書とはあらかじめ、自署や捺印などをおこなった私署署名書の内容が真実であることを公証人の前で宣誓し、公証人から認証を受けた書面のことです。
この認証は母国の公証人から受けても構いませんし、在日大使館領事部で認証を受けても構いません。
しかし、大使館によって、対応できるかどうかや、掛かる日数などに大きな違いがありますので、事前に問い合わせるようにしましょう。
また、自国の官公署で発行された住民登録証明書を代替書類として使うこともできます。
しかし、この場合、記載されている住所が本当なのかどうかを判断することが難しく、翻訳が必要になることもあり、大変、長い時間が掛かってしまいます。
そのため、用いられる機会は少ないようです。
なお、印鑑証明書の代替書類は母国の官公署もしくは在日大使館によるサイン証明書を取得するか、登記委任状を用意して、在日大使館の認証を受けるかのどちらかの方法を用います。
実際には、スムーズな取得のため、司法書士に登記委任状を作成してもらい、在日大使館の認証を受けることが多いようです。
外国籍の方が不動産売却で支払う税金
日本の不動産を売却した場合、譲渡所得税、免許登録税、印紙税を支払う必要があります。
譲渡所得税は譲渡利益に課税されることとなりますが、譲渡利益は下記の計算で求めます。
譲渡利益=売却価額-(取得費+譲渡費用)
念の為、補足をしておくと、売却価額は売却価格、取得費は不動産の購入費用や修繕費用など、譲渡費用は売却の仲介手数料などの経費を指します。
譲渡所得税は算出された譲渡利益に税率(所得税10%+復興特別所得税0.21%)を乗じた金額を支払うことになる訳です。
また、免許登録税は売却価額の2%(令和5年3月31日までは1.5%)となり、印紙税は売却価額により変動します。
これら、支払いが必要な税金のうち、譲渡所得税に限っては外国籍の方が居住者なのか非居住者なのかによって、支払い方法が変わります。
外国籍の方が居住者の場合の支払い方
居住者とは国内に住所を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人のことです。
外国籍の方が条件を満たしていれば居住者として扱われます。
居住者が不動産売却によって譲渡利益を得た場合、自ら確定申告をおこなわなければなりません。
具体的には譲渡所得の発生した翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告書に必要事項を記入して提出します。
確定申告書は税務署の窓口や税務局のHPより取得可能です。
外国籍の方が非居住者の場合の支払い方
上記の条件を満たさなければ、非居住者として扱われます。
非居住者は基本的に日本国外に生活の本拠を置いているという判断から納税方法が変わります。
非居住者が不動産売却によって譲渡利益を得た場合、買主が売主に代わって源泉徴収をおこなわなければなりません。
つまり、買主は売却価額から10.21%の譲渡所得税を控除した残額を売主に支払います。
そして、売主は翌年の2月16日~3月15日日の間に確定申告をおこなうことで、多く払い過ぎていれば還付を受けることができますし、不足していれば追加納付するという訳です。
なお、この非居住者の方の源泉徴収は一定の条件を満たせば免除されることもあります。
その条件は売却価額が1億円以下の場合、もしくは買主が自己または親族の居住用に購入した場合です。
この場合、買主は源泉徴収をおこなう必要がありません。
まとめ
日本の不動産は国籍に関わらず、誰もが自由に取引可能です。
しかし、当然のことながら、取引は日本の法律に則っておこなうこととなるため、とくに外国籍の方は事前の下調べや代理人の検討するなどしっかりと準備をすることが重要です。
代理人を立てることで費用が発生するものの、スムーズな取引をすることができて、トラブルを未然に防ぐことができれば悪い洗濯ではありません。
大きな費用が動く取引だからこそ、慎重に手続きを進められる方法をよく検討すべきです。
まずは、不動産の一括査定をおこない、売却価額の相場や手続きについて信頼できる担当者を探すことから始めてみてはいかがでしょうか?
いえらぶでは物件や不動産会社の口コミを見て比較できます。
よりクリアな情報から、あなたにぴったりの
いい家を選んでみませんか?
「いい家」を探す
Writer この記事を書いた人
- いえらぶコラム編集部
- いえらぶコラム編集部は、皆さまの住まい探しに役立つ知識や、暮らしを豊かにする情報を発信していきます。