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賃貸物件の退去手続きの方法とは?

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就職や転職などで引っ越すことが決まり、新しい賃貸物件を探していると、引越し先を探すことに意識がいきすぎてしまいますよね。

大家さんや管理会社に賃貸物件の契約を終了する旨を伝え、退去届(または解約通知書)を提出することを忘れていませんか?

実は賃貸物件の退去時は、契約と同じように決められた手続きを行う必要があるのですが、意外とそのことについて失念している方も少なくありません。

管理会社によっては電話だけで連絡するケースもあるそうですが、原則として退去届は必須です。

今回は、この退去届や賃貸物件の退去に関するお話についてご紹介します。

引っ越しの荷造り中の部屋

引っ越しが決まってから退去まで

賃貸物件を退去する、一般的な流れをわかりやすくご紹介します。

<引っ越しが決まったらすぐ:賃貸借契約書を確認>

賃貸借契約書には、解約の連絡期日が書いてあります。

いつまでに連絡するのか確認しておきましょう。契約によっては退去に関する「特約」が取り決められていることがありますので「特約」欄も確認しましょう。

<1か月以上前:引っ越し業社、退去日を決める>

引っ越しが決まったらまず、引っ越し業者を決めて引っ越し日を決めましょう。

退去の連絡をしてから1か月間は家賃が発生する場合が多いので、考慮して決めます。

住んでいる賃貸住宅で斡旋している引っ越し業者に割引がある可能性もあります。

<1カ月以上前:退去連絡、退去届提出>

住んでいる賃貸物件の管理会社、もしくは大家さんに退去の意思・日付を伝えましょう。

退去届が受理された後に、次に住む人が決まると退去のキャンセルはできなくなることが多いので注意が必要です。

<4~2週間前:各種契約の解約・変更>

公共料金・インターネット・火災保険などを解約し、引っ越し先に変更・新契約の手続きをします。

<10日前まで:立会日を決める>

荷物の搬出日が決まったら、不動産会社と退去の立会日のスケジュールを決めましょう。

<引っ越し当日>

管理会社、または大家さんが立ち合いをして、修繕が必要な場所などを一緒に確認して、鍵を返却します。

<引っ越し後1カ月以内:清算>

退去の際にクリーニング費がかかる賃貸借契約を結んでいる場合があります。

また、故意過失の汚れ(たばこの焼け跡など)に対しての修繕費の請求、敷金の返却など契約内容によって異なりますが、おおよそ1か月以内で清算があります。

不動産会社によっては、立ち合い不要といって、住人が引っ越した後に担当者が室内を確認して何かあれば連絡がくるシステムです。

退去を申し出るタイミング

退去を申し出るのは、一般的に1~2ヶ月前とされています。

通常、物件の賃貸借契約を結んだ際に渡された賃貸借契約書に「退去時は○ヶ月前までに申し出る」といった解約予告期間が記載されているので、引っ越しを考え始めたらまずは契約書を確認しましょう。

仮に申し出るのが遅れると、退去した後でも家賃を払うことになる可能性もあります。

最初は管理会社に電話をして、退去の旨を申し伝えた際に改めて退去届も提出することも伝えておくと良いでしょう。

退去の時に必要な退去届って?

退去届に記載する内容は、一般的には以下の通りです。

・現住所

・物件名

・部屋番号

・借主のお名前

・敷金の返金口座

・転居先住所

・退去の立ち会い希望日

・退去理由

基本的には管理会社に指定の用紙が用意されていますが、契約時に契約書と一緒に渡される事もあるようです。

もし指定用紙を紛失したり、管理会社に指定の用紙が無い場合はご自身で退去届を作成する必要がありますので、その際は上記の内容をご記入ください。

どういった書式で書けば良いのか判らない場合は、インターネットで退去届のテンプレートを検索することができますので、そちらをコピーして活用するのも良いでしょう。

そして郵送の場合は、相手に確実に届いたかという点が重要となりますので、配達記録が追える形式で郵送されることをおすすめします。

もしも提出を忘れたら

ショックを受ける女性

退去届を忘れてしまった場合、基本的に解約予告期間内の賃料支払い義務が発生します。

もしそれが厳しいなら、直接大家さんや管理会社と交渉するしかありません。

引越しにはただでさえ多額な費用が掛かりますので、なるべく不要な出費は抑えたいところ。

面倒でも必ず早めに退去届を提出しましょう。

<退去届に新住所や連絡先を記載したくない場合は?>

昨今、個人情報の取り扱いが厳重化されたことを受け、個人情報の開示や記載をすることに慎重になる方もいらっしゃるでしょう。

実は新住所などは、必ずしも書かなければならないか項目ではありません。

しかし、敷金の精算など退去後に何かしら大家さんや管理会社があなたに連絡を取りたい場合、その連絡先が不明ですと手続きの処理が進まず困ることに。

そうしたことを踏まえると、せめて携帯電話の番号だけでも記載しておく方が安心です。

どうしても新住所を伝えたくない、あるいは退去届提出時点でまだ新居が決まっていない場合は、ご実家を代理連絡先として伝えておくのも一つの方法です。

その際は管理会社に新住所を伝えられない理由をきちんと述べること、そしてご実家のご家族にも「もし管理会社から連絡があったら、その時は一旦対応をお願いしたい」と事前にお話しておきましょう。

引っ越し業者の決め方と荷造りの仕方

引っ越し業者

さて、管理会社に退去の旨を伝えたら、次は引越しの準備と諸手続きです。

特に1~3月は引っ越しのピークとなりますので、まずは荷物の搬出入を依頼する引っ越し業者さんから決めましょう。

その際は数社に見積もりを依頼し、料金とサービス内容に納得した業者さんに決めます。

見積りは一社ごとに問い合わせるのではなく、数社にまとめて依頼をすることができるサイトがありますので、そうしたサイトを活用すると楽ですよ。

お願いする業者さんが決まったら、次は荷造りです。

まずはすぐに使わないものや重いものから段ボールに詰めていき、その上に軽いものや新居ですぐ使うものを入れましょう。

この時、うっかり携帯電話の充電器や化粧品・お子さんの紙おむつなど、引っ越し当日も必要となるものを一緒に詰め込んでしまわないように、そうしたものは先に別の場所に保管しておくと安心です。

一通り荷物を詰めたら、段ボールのふたや側面に内容物を記載します。

この時、内容物だけでなく新居での配置場所も併せて記載しておくと、当日の搬出入がよりスムーズに進みますよ。

食器など割れやすいものを詰める時は、エアークッション(プチプチ)や新聞紙で包んでから段ボールに詰め込みます。

エアークッションはホームセンターなどで販売していますので、「ちょっと多いかな?」と思うくらいの量を買っておくと、引っ越し直前の忙しい時も慌てて買い足す必要もないでしょう。

それでももしエアークッションが足りず、買いに行く余裕もない場合は、衣服やタオルの合間に詰め込んで緩衝材代わりにする方法も。

また、運んでいる最中に段ボール内で動いて破損することがないように、段ボール内の隙間もしっかり埋めることを忘れずに。

引っ越しに向けての諸手続きも忘れずに


そして引っ越し日の1~2週間ほど前からは、荷造り作業と並行して諸手続きも進めなくてはいけません。

諸手続きには、以下の項目があります。

・水道・電気・ガスなどの公共料金の解約

・引越し前日までの料金の精算

・現住所のある自治体の役所での転出届(同一市区町村内での引越しなら転居届)の申請

・郵便局への転送届

・家賃の口座振替の停止(通帳と金融機関印必須)

・家賃保証や家財保険・火災保険などの解約

これらの手続きの中には、インターネットでの受け付けが可能なもの(公共料金の解約や郵便局の転送届)や、管理会社を通じて行えるもの(家賃保証などの解約)もありますので、それらも上手に利用して効率よく進めることをおすすめします。

引っ越し当日に行うこと

引っ越し当日は、まずは荷物の搬出から行い、全て搬出し終えたら今度は大家さんや管理会社との退去立ち会いを行わなくてはいけません。

退去立ち会いでは、入居時と比較して室内のどこに経年劣化や不具合が起きているのか、入居中に借主が破損や汚損をさせてしまった箇所がないかどうかなどを細かく確認するので、少しお時間を要します。

確認が終了したら、合鍵も含めたすべての鍵を大家さんや管理会社へ返却して終了です!

退去立ち会い時の重要ポイント


そのため、退去時の原状回復費がどれくらいかかるのか心配になる方も少なくありません。

金額によっては敷金が全額返金されないどころか、プラスアルファで支払いが必要となってしまうため、不安に思われるのは当然ですよね。

ですが原状回復費は、確認後にその場で決定するのではなく、一旦大家さんや管理会社が持ち帰ってきちんと計算し直してから後日請求というケースもあります。

その請求のタイミングは、通常はお引っ越し後1~2ヶ月以内に行われるのですが、時には数ヶ月から数年経過後に突然請求書が届くというトラブルもあるそう。

実際にあった例としては、こんなケースもあったようです。

突然届いた原状回復費の請求

請求書

半年前、15年住んでいた賃貸アパートを引っ越したAさん。

引っ越し当日は無事に引き渡しの立ち会いも済ませ、その後新しい家で新生活を送っていたところ、先日賃貸アパートの大家さんから一通の手紙が届きました。

引っ越し以来特に連絡を取ることもなかったので、急にどうしたんだろうと内容を確認してみると、そこにはAさんが住んでいた部屋の原状回復費として50万円を請求する旨と、指定の期日までに支払わないと訴えを起こす旨が記載されていました。

突然の出来事に驚いたAさん。

その賃貸アパートは築年数が古く、今年で築30年になる木造2階建てのアパートです。

確かにAさんが住んでいた間に若干壁紙に小さな傷をつけてしまったなどの軽微な損傷はありましたが、元々建物自体の経年劣化による傷みもありました。

それを考慮するととてもこの請求額が正当とは思えませんが、入居当時に交わした契約書には『退去時に原状回復費を請求する』と記載があります。

それを承諾の上で契約したのだから、やはりAさんはこの請求通りに50万円を支払わなくてはいけないのでしょうか。

50万円全額の支払い義務はない

現役の不動産業界のプロによると、Aさんのケースでは以下の点がポイントとなります。

1.退去から半年経過している

2.建物自体の経年劣化による損傷が明白

先述のように、原状回復費が立ち会い確認時にその場で決められないような場合は、後日きちんと計算して借主へ原状回復費を請求しますが、今回のように半年も期間が空いてしまうことはそうそうありません。

また賃貸物件の原状回復の基準については、国土交通省が1998年に公布した『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を作成・公表しており、現在はこれに基づいた原状回復費の計算が行われています(2013年8月に現在の内容に改訂済)。

このガイドラインでは、賃貸物件の経年劣化や日常生活において避けられない物件の摩耗・消耗など、借主に落ち度が見られない場合の劣化については借主の負担はないと定めています。

※日常生活において避けられない物件の摩耗・消耗というのは、例えば冷蔵庫のモーターによる壁紙の色褪せや、室内に入る日光による日焼けなどが該当します。

そのため今回のAさんのようなケースはとても正当性があるとはいえず、Aさんは請求された50万円の原状回復費を全額支払う義務はありません。

ただし、室内の損傷や摩耗・消耗が全て経年劣化や日常生活において避けられないものとは限りませんので、家主さんや管理会社と話し合いの元で正しい原状回復費が確定したら、その分はきちんと支払う必要がありますのでご注意ください。

賃貸物件は減価償却の基準が決められている

汚れた壁紙

前項で取り上げた『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を基に決められる原状回復費ですが、経年劣化や自然消耗でもその範囲や程度が大きすぎるものは借主にもある程度の負担が生じることがあります。

ただし、100%全額負担ということはほとんどありません。

また壁紙などの設備には耐用年数(6年または8年)が定められており、一定期間を経過したものは原状回復費が0円となるものも。

例えば築25年の賃貸アパートに10年住んでいて、その間に故意に傷をつけたりしていない場合は壁紙の張り替え費用は負担する必要がありません。

最新のガイドラインの中には、玄関やキッチン・バスルーム・洗面所・トイレなど、賃貸物件内の各ポイントのどこを確認しているのかというチェックリストがありますので、引っ越し準備時にこのリストを基にご自身でもチェックをしてみると良いでしょう。

また東京都でも、賃貸物件に関するトラブルを防ぐための賃貸住宅紛争防止条例を、2002年に定めました。

さらにこの条例と、国土交通省が発表したガイドラインを基にした『賃貸住宅紛争防止条例&賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』も作成・公表しています。

こうした原状回復費のトラブルは、いつでも誰の身にも起こり得るもの。

巻き込まれる可能性を少しでも低くし、事前に原状回復に関する資料に目を通しておくことをおすすめします。

いずれのガイドラインもダウンロードが可能なので、今後お引っ越しをされる予定の方は参考資料として持っておくと良いでしょう。

おわりに

引っ越しは新生活の計画に心が浮き立つ時かもしれませんが、最後に気持ちよく旧居と大家さん・管理会社とお別れをするためにも、手続きなどをしっかり行いましょう。

また、賃貸物件の退去についてお悩みの方は、いえらぶ不動産相談にて専門家に相談されることをおすすめします。

不動産のプロが集まるいえらぶ不動産相談では、こうしたご相談も随時受付中ですので、お一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談下さい。

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